地域視点でのシンガポール市場開拓

地域振興の視点で海外市場開拓が注目されている。海外での物産展、見本市への出展等、積極的な取り組みが行われている。日本の人口減少による市場縮小や和食ブーム等、海外での日本産品の人気が背景である。

しかし、多くの地域では、海外市場開拓の知識、ノウハウ、人脈が少ないのが現状である。そして、海外の展示会、見本市に出展し、好感触を得るものの継続的な販売につながらない事例が多い。課題は様々である。消費者のニーズに合致しても、小売、ディストリビューター(代理店)の思惑と一致しないケースもある。新規市場参入においては、粘り強く消費者に浸透する取り組みが必要である。地域においては協力者の存在や費用負担も課題である。本書では海外市場開拓に取り組む自治体、地域事業者、シンガポールにおける関係会社へのインタビューにより、これらの課題を明確化する。

また、最近は越境EC、インターネット通販、Webマーケティング等、新しい手法も取り入れられている。この新しい潮流が地域の課題解決につながるかは、まだ検討段階である。実践事業者へのインタビューによりその実情を明らかにする。

このような現状と課題の分析を通して、継続販売につなげるための仕組み作りを考察する。長年、地域における海外市場開拓に携わった筆者ならではの分析、提言である。そのキーワードは、多角的なアプローチ、強い紐帯と弱い紐帯、グローバル人材の育成である。

海外市場開拓は一過性のイベントではなく、継続的な活動につなげることが地域経済の成長戦略に重要である。海外市場開拓を地域振興につなげるための活動指針を提示する。