SOHO'S REPORT
Backnumber
2003/10/09  シンガポールドリーム(1)


事例:シンガポールでのグローバルコラボレーションを目指す
株式会社ディーアイディー

■シンガポールはインキュベーションアイランド
今は製造業を中心にアジア=中国進出ブームである。
中国に進出すること、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)を構築する
ことが企業体質の強化につながると考えられている。
私もこの考えに異議を申し立てるものではない。
しかし、初めて海外進出する中小企業にとってはどうであろうか。
人脈やノウハウが乏しく、ビジネス習慣や法律も難解な場所へいきなり進出す
ることには多少疑問がある。
私はアジア市場の開拓を目的として海外に初めて進出する中小企業には、シン
ガポールが最適であると提言してきた。
インフラの整備や政府の支援体制を加味するとシンガポールは“インキュベー
ションアイランド“といえるのではないかと考えている。
今回は、夢をかなえるためシンガポールに進出した企業として株式会社ディー
アイディーを考察する。

■株式会社ディーアイディー
今回は、株式会社ディーアイディーのディレクターであり、シンガポールで実
際に会社設立の準備を進めている大山実良氏にお話を伺った。

株式会社ディーアイディー
http://www.didin.co.jp

株式会社ディーアイディーは1970年(株)ダイワデザイン研究所として設立。
本社は東京都武蔵野市にある。
プロダクトデザイン、グラフィックデザイン、アドバタイジング、スペースデ
ザインを主な業務としている。特に釣具のデザインに関しては、豊富な実績と
ノウハウをもっている。
1991年2月には台北オフィスを開設。ディーアイディーの台湾人の社員が故郷
に戻って独立したものであるという。

今回、戦略的にアジア展開に乗り出すことになった。最初は魅力ある中国市場
をターゲットとして上海での事務所設立を計画していた。
しかし、大山氏は入念な調査を行いシンガポールが最適と判断した。
ビジネス環境、シンガポール政府の支援が決めてとなったようだ。
そこで、シンガポールのビジネス環境、政府の支援施策を総括的にみていく。
シンガポールの特徴はビジネスのハブとしての機能を積極的に強化、促進して
いることである。

■シンガポールのビジネス環境
シンガポールはインフラの整備やインターネット、PCの普及率、ブロードバン
ド利用可能(99%)などアジアでも屈指のビジネス環境である。

■シンガポール政府の支援施策
シンガポール政府はR&D(研究開発)振興、技術起業家精神の育成に積極的に
取り組んでいる。

○テックプレナーシップ21(Technopurenurship21)
テックプレナーシップ21委員会はハイテク技術産業振興のため教育、ビジネス
インフラ、法規制、金融の4つの分野のインセンティブを設置。
1999年4月にはUS$1ミリオンの技術系起業家の投資ファンドを設立。
2001年11月には一部地域でホームオフィスの開設を許可。

○ハイテク起業家の労働許可証に対するインセンティブ
Social Visit Pass
観光ビザの延長(Social Visit Passes)
シンガポールで事業を起こす外国のハイテク起業家に延長滞在パスを発行する

http://www.sedb.com/edbcorp/programmetechsg_svp1.jsp

Technopreneur Employment Pass
ハイテク起業家ビザ(Technopreneur Pass)
シンガポールでハイテク事業を行っているか、あるいは設立過程にある外国の
ハイテク起業家に労働許可証を発行する。
http://www.sedb.com/edbcorp/programmetechsg_ep1.jsp

■ディーアイディーのシンガポール進出戦略
ディーアイディーはシンガポールではゼロからの顧客開拓である。
そこで、シンガポール経済開発庁(EDB)から適切なアドバイスを受けている。
オフィスはインキュベーション施設であるJETRO ビジネス・サポートセンター
(シンガポール)を利用している。

JETRO ビジネス・サポートセンター(シンガポール)の開設について
http://www.jetro.go.jp/ged/j/press/2001/1023-2.html

大山氏は日本とシンガポールの良いところを組み合わせることを検討している。
日本人はきめ細かな対応を得意としている。それに対して、シンガポール人は
システム化を推進することが得意である。
プロダクトデザインにはこの両方の資質が大切である。

また、大山氏は将来の目標として「アジアのデザイナーのネットワーク」によ
る新しいデザインの創造を掲げている。
アジア各国のデザイナーのコラボレーションによる新しい提案というのは魅力
的なことである。今後の活躍が楽しみである。

 [Profile] ━…‥・

飯盛 敦博(いさがいのぶひろ)/TASTE Business Services Singapore
■9月30日の日経産業新聞IT時評に寄稿しました。
2003年9月30日(火)の日経産業新聞IT時評欄にていすと(シンガポール)
代表として「コンテンツを輸出商品に」というテーマで寄稿しました。
内容は世界初の双方向デジタルコンテンツクリエーションセンターを取材し
て、シンガポール政府のメディア21ビジョンを考察したものです。
■鳳雛塾が日経地域情報化大賞を受賞
10月3日日本経済新聞(朝刊)に掲載されておりました、同社主催の
「地域情報化大賞2003」にNetComさが推進協議会と鳳雛塾の連名で
「日本経済新聞社賞」を受賞いたしました。
http://www.nikkei.co.jp/riaward/
鳳雛塾は私の兄(義徳)が行っています。

e-mail info@soho-asia.com
HP http://www.soho-asia.com




飯盛敦博 過去の記事タイトル一覧へ


メールはこちらまで。

soho asia トップページへ