SOHO'S REPORT
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1999/03/18 SOHOスピリッツ

先日、地元大学の就職担当教授より問い合わせがあった。特に女子学生の就職が困難な中、
「SOHOとしての就職口はないか」「SOHOというワークスタイルについての講義をお願いしたい」といった内容のものであった。  
 
私は、それまでは学生からすぐにSOHOへの道というのを考えていなかった。
しかし、今後はこういった卒業後SOHOで働くという人口も増えてくると推測 できる。
今までは、入社すれば会社で「新人教育」があり、会社について、或いは社会一般の常識的なことは教えてくれていた。最初から「何も分からない」 のはあたり前だと見なされてきたからであろう。
 
しかし、今後、会社勤めの経験がない「SOHO」と呼ばれる世代がたくさん出 てきた時、彼らは仕事のノウハウや一般的な社会常識をどこで習得するのだろうか。
SOHOとして仕事を進める時、仕事に対する「意識」の違いは、今でもトラブルの原因になっていると考えられる。  
 
例えば、「主婦にもできる」とか「主婦感覚」とかよく言われるが、その意味自体、主婦に対する偏見が根底に見え隠れする。つまり、「責任がない」と か「時間に縛られない」といったニュアンスを漂わせているのではないかと感 じる。  
 
「主婦」と一括りにしても、千差万別。女性SOHO研究会として調査した久留米市内のアンケートの結果によると、特に子育て中の女性は忙しく、時間が足りなくて悲鳴をあげている現状が
はっきりした。しかし、このような現状でも、家庭を切り盛りしながら立派に仕事もこなしている
スーパーウーマンも多いのはみなさんご周知のことだろう。
仕事に対する質や責任は、男女の差に関係が あるのではなく、その「人」によって違うのだ。 
 
この、「人」によって意識の違いが生まれるのが「スピリッツ」ではないだ ろうか。
これからSOHOを始めたいと考える人々(特に学生)のためにも、こう した「SOHOスピリッツ」
なるものを学ぶ機会が必要だろう。以前のレポートで も触れたが、自己管理能力のない人はSOHOには向かないと断定する。それは、 SOHOには自分の意志を誘惑するものが散在しているからだ。(その詳細については、以前、杉浦氏のレポート「通勤のすすめ」から「ホームビジネスをする上での10の悪癖」で皆さんご存知のことだろう。)  
 
世間では「SOHOとして独立しているなんて、きっと社会からドロップアウトした人間で、会社で
うまくやっていけない偏屈者にきまっている」と思ってい る人もいる。
しかし、私は、仕事をする上で一番大切なのは、自己管理能力の次に、コミュニケーション能力をもった人=マナーと節度をもった「人格者」 と考えている。
マナーをもっていない人との仕事は、とかくトラブルになり易 いのではないだろうか。
 
しかしながら、会社にもマナーのかけらもない、周囲に配慮の出来ない人が結構いる。
私は、勤めていた時、「どうして、こんなに人間的に尊敬できない人の下で働かなくてはいけないのか」と、嫌気がさしていた。そんな折り、近所に住むSOHO暦40年というアメリカ人のA氏(彼は、アメリカで起業し、それを上場まで果たした経歴の持ち主だ。前向きで積極的な人で、仕事に対する熱意は すざましく、60歳を超えているとは信じられないほどエネルギーに溢れている。今でも新規事業に向けて「何かいいアイデアはないか」と幅広い視野を持ち続 けている。)が、私にこう言っていた。「どうして好きでもない仕事を、嫌々やっているんだ。さっさとそんな会社は辞めて独立して自分のやりたい仕事をした方がいい。」
そして、私が会社を辞めたと報告に行った時、彼は私にこう 言った。
 
”Congratulations! No more stupid boss!”
実に印象的な言葉だった。    
 
インターネットや電子メールを介して知り合った人は、おかしなものでメー ルのやりとりや電話の応対などを通して、相手がどんな人なのかある程度のことは想像できるものだ。
会ってみて話しをすれば、なおさらのことだろう。膨大な情報の中で、自分と同じ視点をもつ人を見つけるのが可能になったのは、 これら(文章や電話など)の中で、「共感できる」と感じるからだと推測できる。  
 
共感できる人には、更に会って話してみたくなる=人と会う機会が多くなる =更なるネットワークの構築という図式ができる。ネットワーク社会が進み、 人とのコミュニケーションの手段がデジタル化しているからこそ、人付き合いはどんどんアナログ化していると言えるかもしれない。
人間も動物の一種なの だ。動物の感が残っていて、SOHOスピリッツをもった人間同士だとわかるのかもしれない。  
 
先日、九州SOHOパートナーグループ(KPG)が設立された。今後の方針などは、グループ内で建設的な意見の交換を繰り返しながら徐々に決まって行くだろう。 しかし、私は将来的には
その中でSOHO事業者向けの教育を提案したいと考えて いる。いろんな分野の得意性をもった人々の集まりであるからこそ、お互いが切磋琢磨できるのではないかと考えている。
また、今後SOHOとして独立したいと考えている学生などの為にも、SOHOに関する情報(ノウハウも含めて)や、 先にも述べた社会人としての一般常識等を学べる場として提供できればと考えている。  
 
しかし、新鮮な感覚をもってきた人間がその良さを失う事がないようなSOHO教育にすべきだとも考えている。また同時に、巷で言われている「グローカル」 (=グローバルに考え、ローカルに行動する)な考え方も備えたグループに成 長できればと考えている。そして、KPGで育った人は、「人間性もすばらしく仕事も一級だ」「KPGスピリッツなるものを発揮している」と絶賛されるグループ であって欲しいと願っている。    
 
ところで、あなたの「SOHOスピリッツ」は、どんなものでしょうか?  






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