SOHO'S REPORT
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2001/08/30 シンガポール物語

こちらに来て早七ヶ月。あっという間に過ぎていった。これまでに本当にいろんなことがあったが、今回はその中で私が感じてきたシンガポーリアンについて書きたい。

まず、最初に感じたことは仕事に対する認識の違いとでも言うべきだろうか。
日本の場合、『一度言われたことはきちんと対処し同じことを二度と言われないようにする』というのは、ごく当り前のことであろう。しかし、こちらではそういうわけにはいかない。
というのも、一度言って『言われたこと』に対して適切に処理されていたことは、ごく稀だからである。「あれはどうなった?」と、追って確認しなければ、本当に処理が済んだかどうか不安である。なぜなら、忘れていてそのままにされていることも珍しくないのだ。
こちらが、日本と同じように、「言われたことはきちんとやってくれるだろう」と思っていると、
後で大変なことになる。何回も確認・催促をしても、それでもできてないこともあるのだ。

また、この国には『かゆいところに手が届く』というようなサービス精神は見られないように感じる。言われたことをやってくれれば、まともな方だと思った方がよさそうだ。それどころか、忘れていても全く気にしていない様子で、私などは、その神経の図太さに閉口してしまうが、日本人の感覚でいてはいけないのだと痛感する一瞬である。

ここでは、サービスもお金次第なのである。例えば、あちこちに『ホーカーズ』と呼ばれる屋台があり、一食S$2.00〜3.00くらいで食べられるが、ゴミゴミしていて、とてもゆっくりと食事を楽しむところではない。『お腹を満たすだけ』の場所だ。それとは対称的に、もっと気持ちよく食事をしようとすれば、それなりの料金を払うところへ行かねばならない。ゆったりと食事をし、気持ちのよい対応を望むなら、正当な『サービス料』を支払って、サービスを受けるということのようだ。

日本のように、どこへ行ってもある程度のサービスを受けられるような国は他にはないのではないかと思う。『世界一厳しい消費者』と呼ばれている所以であろう。日本人が満足いくものであれば、他の国で通用しないはずがないと実感している。

また、時間もあまり守られていないようだ。アポイントの時間に30分ほど遅れる等は、日常茶飯事のようである。それに加えて話し好きの人が多いようで、話し出すと長い。「そんなに話しをしている暇があれば、自分の仕事を片付けてくれればいいのに」と思うことも少なくない。
そういえば、デパートの店員さんなど、よく、近くの人とおしゃべりをしている様子を見かける。
日本であれば、厳しく注意されるであろう。
しかし、もし注意を受けたとしても ”OK la”, “Never mind la”,
 “No problem la”(la『ラー』とは日本語で「ネ」という意味に使われている)等と言って、これまた全然気にしていない様子。「どうしてあなたが“Never mind la”と言うの?私は怒っているの!」と怒鳴りたくなることもあるのだ。

(北半球でいう)南の温暖な気候のせいもあるのだろうか、「そこまで気にしないでいられるのが羨ましい」と、既にあきらめ気味の日々である。

「郷に入れば、郷に従え」という言葉があるが、こちらで生活していくためにも、この慣習の違いや文化の違い等は、十分に頭に入れて行動して行かなければと考えている。

それにしても、あとどれくらいすれば、私も“Never mind la” と言って、気にしないでいられるようになるのだろうか。また、そうなれる日は、本当に来るのだろうか。と不安な日々を送っているのであった。






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